北海道の花シリーズ Part1
株式会社エコニクス
契約社員 北ノ森自然伝習所主宰 三木 昇
カタクリ。その花姿と花色から最近とみに有名となり、各地のカタクリの群生地にツァーで押し掛けるほどの人気ぶり。世のうつろいというのか花を愛でる人も増えました。
それはさておき、カタクリという花はどういう花なのでしょうか。
それはいわゆる春型植物と言われるもので、早春まだ葉を開かない明るい落葉広葉樹林の下で花を咲かせます。木々が葉をひろげ森が暗くなる前に地面に届く陽光を受け、種子に十分な栄養を蓄え、地下茎にも養分を貯えます。森の中が暗くなる初夏には、ひと仕事を終えて来春まで休眠するという植物たちです。
この生活史を考えた時、どうすればカタクリ園をつくることが出来るのかがわかります。
それは、カタクリのあるところの草刈りをまめにすることです。
カタクリのある林で陽光を遮る下生えが多いところは、これらのものを刈り払い、春によく地面に陽光が届くようにすることです。そうすれば芽生えたカタクリは十分に日を受けて、球根が充実して花をつけることを早めることができます。
花の後の種子はアリにより散布されてカタクリが増えます。そののちは夏に十分に伸びきった他の草の草刈りをします。これは決して時期を早くしてはいけません。早春型の植物が養分を貯えるのに必要な葉を刈り取ったり、せっかく種子のついた花茎を刈りとるのはまずいのです。
最初は誰もカタクリ園を作ろうなどというねらいはありませんでした。公園の手入れをするうちに出来たというものなのです。だから、気長にやることです。
自然の歩みは確実だが遅い。
<カタクリ>